大阪・老松町に息づく、孤高の手打ち蕎麦 「なにわ翁」の仕事

大阪・なにわ橋駅から徒歩4分、老松通りの一角に暖簾を掲げる「なにわ翁」。1930年創業の老舗は、現在も“挽きたて・打ちたて・茹でたて”を貫く手打ち蕎麦専門店として、多くの蕎麦好きを魅了し続けている。
店が位置する西天満エリアは、戦前から文化と芸術の街として知られ、多くの古美術店やギャラリーが軒を連ねる。なにわ翁の歴史もまた、この街と共に育ってきた。創業後、昭和26年に現在の老松通りに移転し、平成11年には自家製粉・手打ちにこだわる現在のスタイルへと生まれ変わっている。その背景には、“蕎麦の神様”と称される名人・高橋邦弘氏のもとでの修業があり、店主が受け継いだ「仕事の流れ」を重んじる精神が息づいているという。
もくじ(CONTENTS)
■ 徹底した素材へのこだわり

なにわ翁の蕎麦が一口で印象づける香りと甘み、それを支えるのは国産の蕎麦の実のみを使用し、その日の分だけを店内の石臼で自家製粉するという妥協のない姿勢だ。さらに、蕎麦を打つ水やつゆの仕込み水には大阪天満宮の御神水「天満天神の水」(地下水)を使用。透明感のある出汁の旨味と、蕎麦の繊細な風味を引き立てる理想的な水である。

メニューの中心は、二八と十割から選べるざるそば。キレのある喉ごしと凛とした香りを持つ蕎麦は、食べ進めるほどにその完成度の高さを実感できる。冬季限定の牡蠣そばなど、季節感ある一杯も見逃せない。

■ 佇まいと空気が生む、蕎麦屋としての品格

店内は木と土の温もりが調和した落ち着いた空間で、一歩足を踏み入れると都会の喧騒が遠のくような静けさに包まれる。客席は25席、昼は行列ができる日も多いが、待つ価値がある理由が一杯に込められている。提供のタイミングまで計算された蕎麦湯も評判で、食後の余韻まで丁寧に演出する。
■ 大阪に宿る、本物の蕎麦文化を味わう

「関西はうどん文化」と言われるなかで、なにわ翁は大阪に本格蕎麦文化を根づかせた店としても語られる。その味と姿勢は、ミシュランガイド京都・大阪にも掲載されるなど国内外からの評価も高い。
素材、技、歴史、そして店が醸す空気。すべてが調和した一杯は、単なる「食事」を超え、職人仕事の結晶としての体験をもたらしてくれる。なにわ橋近くを訪れた際には、ぜひその暖簾をくぐり、老舗が積み重ねてきた蕎麦の世界を堪能してほしい。
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